本気で書店の万引き対策「実現性の高い対策」

本気で書店の万引き対策「実現性の高い対策」

あなたのお店では、どんな万引き対策をしていますか?
全てに当てはまるわけではありませんが、書店は万引き対策が他の小売店に比べて遅れていると感じます。

信じられませんが、書店によっては防犯カメラすら設置のない書店すら見受けられ、その実情に唖然としたことすらあります。
書店員は、本の万引きに対する危機意識をもっと持った方がいいです。
まずはその理由を感じてもらう必要があります。


あなたのお店の年間の万引き額を把握する


あなたは年間でどれくらい万引きを捕まえますか。
新人でもない限り、店長ともなればまさか捕まえたことのない書店員はいないのではないでしょうか。それほど、書店という小売店には万引きリスクが側にある業態といえます。

もちろん顕在的(捕まえた、発見した)な万引きもあれば、知らない・気づかない潜在的な万引き被害もあります。

では、あなたの店舗では年間どれくらいの万引き被害にあっているかご存知ですか?

この問いに答えられる書店員は、万引きに対する危機意識、取り組み、在庫管理がしっかり行えているといえます。とはいえ、この問いに答えられない書店員が多いのではないでしょうか。多くの書店員は万引きに対する意識は低いように思います。
他の多くの小売店では、扱っている商品、価格の大小に関わらず、仕入れたものを仕入れた数だけ売り切り、売れ残ったものはセールや廃棄処分を行わなければいけません。しかし書店は、委託制度があるため、返品をすればいいという考えになってしまい仕入れた本の在庫に対しての意識が薄い人が多くなりがちです。(売れ残ったものを返品するという考えならまだいいですが、店舗にある在庫を返品するという意識になってしまったら、もう在庫に対する意識はほとんどありません。)

さて、話を戻すと、書店における本の万引きの被害額の話です。
これはどのお店でも毎年行う、棚卸である程度分かることになります。帳簿上の理論値の在庫売価と、棚卸を行った結果の実在庫売価の差がロスした在庫となります。
もちろんこの数字は、万引き以外にも、伝票ミス、レジの打ち忘れなど様々なロスが考えられますが、その大半は万引き被害によるものです。

棚卸で発覚するロスした金額と売上で計算できるのがロス率です。
ロス率=ロス金額÷売上高×100
ロス率が高いほど、売上に対する万引き被害が大きいことになります。

そして書店における、ロス率の平均が「2%弱」です。業種が違うので、一概には比べられませんが、他の小売と比べかなり高い方だといえます。

万引き対策、在庫管理の度合いによって大きく変わってきますが、仮に2%だとして、あなたのお店の万引き被害額を計算してみてください。
年間の売上に2%を掛けた数字が、あなたのお店のロス金額です。ちなみに、ロス金額の内、75%程度が万引き被害によるものだと言われているので、ロス金額に75%を掛けてみてください。

いくらになりましたか?
驚くほどの金額になりませんでしたか?
一生懸命、少しでも売れるように毎日働いているにも関わらず、そんなに盗られているのです。
腹わた煮えくりかえる気持ち、分かります。


書店の利益率から万引き額を引くといくらの売上になるのか


もし仮に、万引き額がその程度か、と思った方がいたら、もう少し利益というものを考えてみる必要があります。

当たり前ですが「売上=利益」ではありません。出版業界の流通の仕組みを理解する【Part3】お金と重要な役割でも説明してますが、書店の粗利は、20%程です。売上が100だとしたら、利益は20しかありません。

それを踏まえると、万引き被害額を取り戻そうとしたら、万引き被害額を利益でカバーすることになるため、「万引き被害額=利益」にしなければいけません。ということは、万引き被害額÷20%の売上を上げなければいけないことになります。
万引き被害額が100だとしたら、それを取り戻すのに500の売上が必要になります。それでようやくチャラ(利益ゼロ)です。

こんな馬鹿げたことありませんよね。

 

ちなみに、1件の万引きによる平均的な被害点数は、コミックで6.6冊、写真集で4.1冊、文庫で4.0冊です。本は転売目的で盗られていることが見てとれます。許せませんね。


万引き犯の傾向や特徴を知る


不思議なもので、許せない万引きに合うと、店内のお客様がどれも怪しく見えてきます。
しかし、冷静になって考えて欲しいのは、大多数の人は万引きなんて犯罪行為をしないということです。

万引きというのは、100人中10人が少しづつ行うものではなく、100人中1人がずっとし続ける犯罪なのです。

そう考えると、対策を立てやすくなります。
万引きが発覚した際には、その犯人を特定することが、最大にして唯一の再発防止になります。

盗まれていることに気づいたら、防犯カメラを遡り、犯人の特定をしましょう。
性別、年齢、背格好、服装、挙動など、画質が荒くてもいいので、画像をスタッフ全員に共有し、犯人が再び来店した時は、報告するように指示を出します。
万引き行為を何人も行っているわけではないので、犯人さえ特定できていれば、あとは捕まえるだけです。

この特定こそが、最大の対策であり防御策になります。
とはいえ、書店の万引き被害の内、顕在的に万引きが分かる率は15%程度です。85%は万引きをされたかどうか気づくことなく被害にあっています。

そこで、潜在的な万引きを防ぐための防御策も必要になってきます。


万引き対策


通常のお客様と違い、万引き犯は怪しいことが多いです。
動きや格好に怪しさが現れます。

書店に限らず、一般的な万引き犯の特徴は、顔を見られたくなかったり(隠したい)、盗みやすいように準備をしてきます。
そのため1番犯人が嫌がることは、店員に見られる(覚えられる)ことです。裏を返せば、目を見た接客、いらっしゃいませの声掛けが(見られている感じがして)嫌なのです。通常のお客様とは逆ですね。

そこで、定期的に店内を巡回する仕組みを作ります。
30分に1回、レジのスタッフが1人抜けて店内を1周させましょう。
棚の整理、すれ違いの際のあいさつ、接客機会の創出を図ります。

ただ、問題はマンネリ化です。接客の意味で店内を回るのであれば、店員が売場に出ていることが大事ですが、今回の話は防犯対策が目的です。マンネリ化して、ただ漫然と売場に出ているだけでは、不審な人は見つけられません。
お客様以外の怪しい人がいないかもチェックする必要があります。

そこで、以下の項目に複数当てはまる人は要注意人物と設定します。

  • 帽子をかぶっている
  • マスクをしている
  • サングラスをしている
  • 口の開いたバッグ(トートバッグ)を持っている

お客様も多いため、これだけで判断することはできませんが、複数該当するようであれば、怪しいのではないでしょうか。
例えば、30分に1回売場を巡回する時に、この4つの項目の内、3つに該当する人がいたら、店長に報告するというルールを設けます。そうすることで、巡回するスタッフは、ただ漫然と売場に出るだけでなく、お客様を見るようになります。

また、巡回した際に、店内のお客様の数を数えてもらう、なんてことを取り入れてもいかもしれません。
その数字を集計することで、レジを通過したお客様以外の情報も得ることができます。

仮にこの業務を「ラウンド業務」と名付け、実施して見てください。
スタッフ全員の防犯意識は高まり、お客様を見るようになります。


ラウンド業務まとめ


最後にもう一度、推奨する防犯対策である「ラウンド業務」をおさらいします。
形骸化しにくく簡単にできる方法なので、これをたたき台にして、あなたのお店でも取り入れてみてください。

  • 30分に一度スタッフが店内を簡単に循環(固定のスタッフではなく全員で行う方がいい)
  • 巡回理由は防犯(+接客、軽い売場メンテ)
  • 巡回中に必ず行うことは4つです
    1.お客様とのすれ違いでは目を見てあいさつ
    2.怪しい人(要注意人物項目3つ以上該当者)がいたら店長に報告
    3.店内にいるお客様の数を数える
    4.巡回しながら軽く平台などをメンテ(メンテが目的ではないので、荒れていたら行う程度でOK)

以上がラウンド業務です。

万引きは許せない行為です。
どんだけ工夫して売ることができても、万引きが起こる店舗ではザル状態です。

今回紹介した方法を実践したからといって、万引きが減ったかどうかはすぐには分かりません。とはいえ、定期的に売場にスタッフが巡回することで、接客機会(声を掛けられる回数)は確実に上がるようになりますので、実施して損はない取り組みだと思います。

ぜひあなたの書店でも取り入れてください。

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