【まとめ】新人の書店員が何よりも先に学ぶべき基礎

【まとめ】新人の書店員が何よりも先に学ぶべき基礎

今回は、新人書店員が把握しなければいけない全ての基礎の概要を紹介します。
書店で働きたい人、書店で働いていたがステップアップしていきたい人など、必ず把握しておくべき内容ですので、チェックしておきましょう。


そもそも書店とはどういう存在か


|書店の存在意義

書店とは、本を売る小売店です。
ただし少し他の小売店と違う部分があります。それが業界独特の考え方を生んでいます。

少し違うというのは、売っているものが「本」という、学問、教養、教育、文化的な側面を強く併せ持った商品であることです。本が売れる、本を読むということは、非常に文化・教養の底上げに繋がると考えられていますし、実際そうだと思います。

出版社のほとんどは東京にありますが、書店は全国にあります。全国に書店があることにより、その地域の人達は気軽に簡単に本に触れることができるのです。
書店は、地域文化の底上げに貢献しているのです。

そのため、売れる本だけ置けばいい、ベストセラーしかない、雑誌とコミックしかない、という書店は、ほぼありません。
その方が効率がいいにも関わらず、多岐に渡る商品構成を揃えているのは、そのためなのです。
書店員の方は、必ず理解しておきましょう。

※出版業界独自の再販売価格維持制度や委託販売制度があるのは、このような書店の存在意義があるためです。


書店の売上を理解する


新人書店員も、書店の売上の推移、書店の売上・利益の構造を簡単に理解しておく必要があります。
数字を見て書店業界がどんな道を歩んできて、目の前の仕事がどう利益につながっているのかを理解しておかなければ、意味が分かってないけれど、ただやらされてる仕事になってしまいます。

|これまでの書店の売上推移

これまでの本の売上は、1996年を頂点に、年々下がり続けています。
1996年では、2兆6500億円あった売上も、2015年には1兆5200億円まで下がっています。

この数字だけみると、今後もどんどん衰退していきそうな業界に思えます。
ただし、書店は売るための工夫をあまりしてこなかった業態ともいえます。例えば、20年前の家具屋と今の家具屋、20年前のスポーツ用品店と今のスポーツ用品店を写真で比べてみるとどうでしょう。
売場づくりや、大きく変わっており、売るための努力や工夫が感じられます。しかし、書店は、売場の写真だけではあまり代わり映えがしません。商品内容は変わっていても売場の展開の仕方、売り方などは20年前と変わりません。
最近になり、ようやくカフェや雑貨との併設による複合化業態の新設、絵本のみや美術書のみのコンセプト特化型の新設などが行われるようになりました。

これからは、書店員がどんな風に本を提供するのかが大事になってきたといえます。(音楽アーティストがCD販売からライブやストリーム配信に移行したように)

※例えば、漫画村騒動を書店員がこう考えてみたなどのように考える必要があります。

|年間の売上推移

新人書店員は、目の前のことだけでなく、書店売上の年間推移を把握して計画性を持って店舗運営をする必要があります。注文した商品がすぐに届くわけではないため、特に計画性は大事な仕事になります。

売上の良い月
まずは、売上が高い月を把握しましょう。1年で1番売上が高いつきは、ダントツで12月になります。この12月に売ることを目指して秋に仕込みをしない書店は大ゴケします。
次に3月、1月、4月、8月になります。3月4月などは、新年度の需要をしっかりと掴む必要があります。

売上の悪い月
売上の悪い月も把握しておきましょう。売上が悪いというのは、お客様が少ない月だったりするため、シフトを薄くしても店舗が滞りなく回ったり、独自のフェアを仕掛けたりできるため、必ず何かの取り組みを行いましょう。
特に売上が悪い月は、6月、2月、9月などです。それぞれ、来店の多い属性(年配が多くなる月など)が変わってきますので、昨年の売上データなどをみて、事前に仕掛け販売などを計画しておきましょう。

|新人書店員が理解しておく書店の売上

売上とは何かを理解しておかなければいけません。
もちろん自店舗の売上は毎日見ているでしょうが、それが一体どうして最終的な売上金額になったのかは理解しているでしょうか。

売上=客数×客単価
店で買物をしてくれたお客様の人数と、1人のお客様が平均でいくらの買物をしたのかを掛け合わせたものが店舗全体の売上です。
客数を増やすには、「来店人数を増やす」か「買い上げ率(買ってくれる人の割合)」を増やすことで数を増やすことができます。
客単価を上げるには、「1品単価を上げる」か「1人当たりの買い上げ点数」を増やすことで単価を上げることができます。
自分達の行う取り組みが、どの部分の数字を増やすことができるのかを考え、実行することで、その取り組みが正しかったのか検証することができます。

売上=平均在庫売価×回転率
回転率とは、どれだけ効率よく在庫が売れているかを示す指標です。同じ在庫量でも、回転率の良い商品(人気商品)を取り揃えることで売上は上がるようになります。
商品ジャンルごとにこの数字などを分析してみると、売場構成や棚構成の指標になります。

少なくとも、売上、客数、客単価、在庫売価、回転率などの数字は、書店員であれば常に追っておくようにしましょう。
数字に変化があれば、どの数字が悪くなったかを見つけ出し、もっと深掘りして中身を見ていけば、対策や改善策を考えることができるようになります。

超書店員のサイトでは、在庫回転率などの在庫に関する数字に関しても詳しく紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。


書店員の仕事はどんなことをやっているか


|大きく変わった今と昔の書店員の働き方

昔話を聞いたところで、あまり今に活かせるわけではないので、「ふ~ん、そうなんだ」程度に思ってもらってかまいません。
書店の売上の推移でも紹介したように、20年前、30年前というのは本が売れていました。これは、売る努力をしていたからこそ売れていたわけではなく、入荷した本を売場に出しさえすれば売れていたのです。当然、ネット書店もありませんから、売上推移で示した数字は、全国の書店が全て売っていたわけです。

そんな、一昔前の書店員の仕事とはどのようなものだったのでしょう。さぞかし忙しいと思いきや、そんなことなかったようです。
まず、小さな書店でも担当者が1ジャンル1人はついていたたそうです。今では、1人で「文庫、新書、文芸、ビジネス書」「児童書、実用書、学参」なんて書店も多いのではないでしょうか。発行部数が減ったり、売れなくなったとはいえ、今ではその分仕事が楽になったとはいえません。

こんな話も聞いたことがあります。
「出版社が毎日来るから、その人とカフェに行って、コーヒーを奢ってもらい。毎日時間を潰す日々だった。」「それで売上が毎日良かったんだから。」
全員がそうだとは思いませんが、一昔前の書店員は自分の好きな担当ジャンルの棚を触り、出版社の営業と話をするのが仕事だった時代もあったようです。(全員がそうだったわけではありませんよ!)

それが今では、1人でいくつものジャンルを抱え、社員だけでなくパートやアルバイトにも担当を持たせ、仕事量が多くて出版社の営業が仕事の邪魔なんて日もあるんじゃないでしょうか。

|日常の仕事(一日の流れ)

では実際に書店員はどのような一日を過ごしているのでしょうか。一般的な書店員なら誰もがやっている仕事の内容を紹介します。

[ 朝 ]
朝一で出勤すると、その日の雑誌・書籍が山積みになって入荷しています。(早朝に配送業者が、前日に準備した返品の商品と、当日入荷商品を入れ替えで置いていってくれています。)
店内の清掃も早々に終えます。雑誌やコミックは、発売日を目掛けて買いに来るお客様がいるので、開店前にどんどん売場に並べていきます。
レジ明けをしながら、開店準備をします。書籍も入荷数をチェックしながら荷解きをし、新刊などは早目に売場に陳列していきます。

開店後は、書籍の品出し、レジ対応、接客などを中心に、その日に入荷した商品をお客様が買えるように、できるだけ早く売場に出します。売場に入りきらない場合は、売れていない本(今後も売れそうにない本)を棚から抜いて、新しく入荷した本を棚に入れます。

[ 昼~夕方 ]

遅番のシフトが来るなどし、休憩を回しつつ、レジ、接客、本の注文などを行います。昼間は一日の中で比較的お客様の少ない時間帯なので、返品する商品のダンボール詰め作業なども行います。
出版社の営業の対応も大事な仕事のひとつです。各社様々な時間に来ますが、おすすめの本や新刊の案内などをしてくれるので、取り入れたり断ったり、上手に活用しなければいけません。

本の品出しの進み具合、お客様の入り具合を見ながら、フェアや季節商品の売場作り、POP作りなども行います。書店のPOPは手書きが基本です。

[ 夜 ]

帰宅ラッシュの時間を過ぎれば、店内は徐々に落ち着いていきます。翌日に備え、雑誌の引き抜きをします。雑誌の引き抜きは、翌日発売の雑誌タイトルの前の号を事前に売場から抜いておいて、翌朝すぐに出せるように売場スペースを空けておく作業です。
もちろん、雑誌だけでなくコミックなども夜にスペース空け作業を行っておくことで、翌朝の作業がスムーズになります。最後に、数字のチェック、売れた本のチェック、翌日入荷商品のチェック、明日の仕事の確認などを行います。

これが書店員の基本的な一日の流れです。

|書店員の仕事の醍醐味

書店員の仕事の醍醐味は、何といっても、売場を任せてもらえることでしょう。

担当制の賛否はあるものの、ほとんどの書店はスタッフに担当の売場(ジャンル)というのを設けて店舗を運営しています。売場作りやどの商品を棚に並べどの商品を返品するのかを任せてもらえます。売筋商品に対するアンテナ、どの商品をセレクトするかのセンス、訴求力などが試されます。それが売れると、お客様の評価を得られたというわけですから、大きな嬉しいですね。
ただし、書店の運営は、会社によって大きく変わります。本の発注(どの本を仕入れるか)は、担当に一任しているところもあれば、本部が全て管理しているところもあります。

とはいえ、入荷した本を売場で訴求しなければ、お客様には評価されないため、仕入れ権限がなかったとしても、売場作り、POP作りは、売れるか売れないかを左右し、書店員の仕事の醍醐味と呼べるでしょう。

今までのベストセラーも、書店員が作り出したものが多くあります。「おもしろい本なんだけど売れていない」「もっと読まれるべき本だ」といったものを、発掘、掘り起こしをして、売れるように売場で表現し直すことで、本が売れ始めます。それが他店舗や出版社にも伝わり、全国的な仕掛けが行われた本は山ほどあります。
しかもそういった本は、書店員という読者に一番近い人に評価された本であるため、ロングセラーになることが多いです。映画化・ドラマ化、続編の発行、類似書の展開など大きなブームが起こります。
そのきっかけは、この本をもっと売りたいという一人の書店員の表現なのです。


書店員になるには


|書店員に向いている人

書店員には、向いてる人、向いてない人があります。
書店で扱う商材、「本」というのは、全ての人間の生活に溶け込むことができる(すでに溶け込んでいる)商品です。
そのため、浅くとも広い知識・アンテナが必要になってきます。
昨日テレビで紹介された本は何か?流行りのダイエットは何か?若者に人気の芸能人は誰か?ビジネスでトレンドのキーワードは何か?次に映画化・ドラマ化される作品は何か?今日の新聞に広告が出た本は何か?政治で話題のキーワードは何か?etc

老若男女全ての人の生活に溶け込む本を扱う書店員は、このような幅広いアンテナを張っている必要があります。
漫画はとにかく好きで詳しいけど、小説には全く興味がない、という人は書店員には向かないかもしれません。新人の頃は漫画売場で重宝されるかもしれませんが、店長になった際などお店を任される時には壁に当たることになります。

多くのお客様の要望や問い合わせに応えれれることが前提で、その上で自分の得意ジャンルやマネジメントで力を発揮できなければ書店員には向かないでしょう。

|書店員の収入

書店員の収入は、決して高くありません。むしろ、低い方といえます。
基本的に本や書店が好きでないと、割りに合わないと感じることも出てくるでしょう。

そもそも小売店の店員自体、そんなに給料は高くありません。
そんな中でも書店員は、給料が上がらない職業です。アパレルや家電店などの小売店では、店長、エリアマネージャーと昇進していけば給料はそれなりに上がっていきますが、書店は潰れにくく儲からない業態です。(出版流通の仕組みと書店のお金参照)
そのため、いつまで経っても給料は上がりません。ボーナスも低いといえます。それでも、「やりがい」や「客層の良さ」は他のどの小売よりも高いため、どういう部分で書店員に魅力を感じるかを自分の中に持っておく必要があります。

|書店で働くには(書店員になるには)

書店員になるためには、特に資格や学歴が必要な訳ではありません。(大手企業などは大卒が求められるところもあります)
短大や大学を卒業し、新入社員として就職する人もいますし、意外にもアルバイトから入り準社員・正社員とステップアップしていく人は多い業態です。どうしても書店に就職したいという方は、アルバイトで入って信頼を勝ち得れば、社員として雇ってもらうことは比較的簡単なことだと思います。(信頼を勝ち得るには実績が必要ですが。)
書店の店長をやってる人も、元はアルバイトで入った、という店長は意外と多いですよ。

資格や学歴は必要ないと言いましたが、誰でも簡単になれるわけではありません。社員としては当然ですが、アルバイトで入社するにも、駅ビルなど立地の良い店舗では倍率が高かったりします。
そして驚かれるかもしれませんが、アルバイトでも筆記試験がある書店もあります。問題は一般常識や漢字テストだったりします。(新潮社、講談社、幻冬社など出版社の漢字を書かせたりするみたいです。)
ある程度教養で絞っているようです。

そして社員もアルバイトも面接があります。
私自身、何度もアルバイトの面接をしたことがありますが、「何でウチ(書店)で働きたいのか?」と聞くと、「本が好きだから」という回答が90%以上です。
書店で働くのは、本が好き(自分で完結する)のではなく、この本が良いからもっと届けたい・広めたいという人の方が向いてると思うので、あまり良い理由だとは思いませんでした。

|カリスマ書店員の存在

書店員の中には、カリスマ書店員という方が存在します。
カリスマ書店員とは出版社の人達からも一目置かれていて、本を評価・売ることができる人達です。

カリスマ書店員は、出版社から発行される前の原稿(ゲラ)などが送られてきて、書評などを書いて欲しいなどと依頼されます。帯などに、「感想と共に◯◯書店店長」というのをたまに見かけると思いますが、この人達のことです。
彼らに本の内容が良いと認めてもらうと、この本を売ろうという取り組みが始まり、書店発信で本を売ろうというのプロモーションをしてくれるのです。

カリスマ書店員になるには、一朝一夕でなれるものではありません。
書店での実績を出していくのはもちろんのこと、出版社とのコネクションや信頼関係を長い期間かけて築いていく必要があります。出版社を通して、著者との関係性もできていく店員ですので、本当に本(特に文芸書)が好きな人は目指すべき一つの方向性です。

|書店員から超書店員

カリスマ書店員が、本好きの書店員の方向性だとすれば、超書店員は商売人としての方向性だと考えています。
本を売る、本との出会いを創発する、書店で働くスタッフを活躍させるなど、本という文化的な商材を通して、利益や売上を上げる人だと思っています。
お客様と一番近い環境で、本と関わる人、本を取り巻く環境をデザインしていく人だと考えています。

そんな超書店員になるには、当サイトで紹介しているようなお客様視点を持ちながら、業績の分析やマネジメントなどを行っていく必要があります。


書店員と密接な関係「外商」の存在


書店員にとって、外商との関係は切っても切れません。
外商とは、「一般外商」「学校外商」に大きく分けられます。

書店に置ける一般外商は、主に雑誌の定期などを届ける仕事がメインになります。美容室や飲食店にある雑誌、市役所や病院や図書館への専門誌など、定期で届けてもらいたい雑誌などの注文を取り、配達する仕事です。

書店に置ける学校外商は、学校で使う教科書・テキストや先生からの注文を取り、配達する仕事です。教科書などは決められた提携先の書店が行いますが、教材などはコンペ的な要素があり、一度で大量の注文になるためメリハリのある仕事です。

これらの外商は、書店によっては外商メインで事業を成り立たせている書店もあれば、店舗のみで外商のない書店もあります。

また外商先のお客様が店舗に来ることも多く、外商の人達からは、通常のお客様よりも丁寧に対応しろなどとの要望も多く、店舗のスタッフからすれば、お客様に差はないという思いは強い傾向があります。また外商で本の注文があった場合は、店舗の在庫から持っていったりするため、店舗で売れている本でも平気で持っていったりするため、「あれば売上になるのに持って行かれた」と不満を持つ店舗スタッフもいます。
こういった小さなことから、店舗スタッフと外商スタッフは、どの書店でも仲が悪い傾向にあります。

そして外商部門は基本的に1人でいくつかの学校、1人でいくつかのお店を担当し全てを任されるため、責任がある分、自分の思い通りにしたいという思いが強くなります。パワーバランスの話になりますが、もし外商部門の売上が店舗の売上よりも大きい場合は、外商は店舗を見下すようになります。

外商が外回りしている時などは、店舗が問い合わせを代わりに受けたり、在庫にしても店舗で入荷した商品を使ったり、持ちつ持たれつな関係であるため、本来は協力し合えれば売上は上がるのですが、うまくいってない書店が多いのが現状です。


本の種類を理解する


ひと口に「本」と言っても、様々な種類が存在します。書店員は、この本の種類について理解しておかなければいけません。
ここでいう本の種類とは、文庫とかビジネス書とか旅行誌などの、この本はどこの売場に置こうという話ではありません。出版業界全体で、どういう扱われている本なのかを理解しておくことです。

|本の種類はこの3つ。「書籍」「雑誌」「ムック」

本にはどんな種類があるのかご存知ですか。本には種類があり、大きく3種類しか存在しません。
その種類とは、書籍、雑誌、ムックです。それぞれ説明していきましょう。

書籍
書籍は、ISBNコード、Cコードなどで管理され、通常の本は書籍を呼ばれます。返品期限などはありません。
出版社が出したい発行したい時に出せるため、新しい書籍はどんどん生まれていきます。

雑誌
雑誌は、定期刊行物とも呼ばれ、5桁の雑誌コードで管理され、書籍とは違い定期的に刊行される本です。週刊、隔週刊(月に2回)、月刊、隔月刊、季刊などがあり、それぞれに返品期限があります。内容には鮮度があるため、基本的に新しい号が発刊されると、古い号が売れない傾向にあります。

ムック
ムックは、書籍と雑誌の両方の特性を持ちます。ISBNで管理され、返品期限は基本ありません。しかし、いつまでが売れる(情報として新しい)のかを表記したHマークが表記されているものもあります。
そもそもムックが出来た理由は、書籍は発行部数が決まっているため、新しい書籍が発行されても全国の書店に行き届かないことがあります。とはいえ、内容は人気があるものなどは、欲しいけど手に入れられない人が多くなってしまいます。そこで、書籍のように簡単に発行でき(雑誌は定期的に新しい号を発行しなければいけない)、雑誌のように全国に行き届き買いやすい本を、ムックという書籍と雑誌の良いところ取りの形で作ったのが始まりです。
ムックの売上を上げるでも、詳しく紹介しています。

以上が、全ての本の種類です。
書店員はこの3種類を理解しなければいけません。お客様目線では一緒の「本」でも、出版業界では流通や取り扱いが違いからです。
またコミックに関しては、書籍扱いのコミック、雑誌扱いのコミックがありますので、注意が必要です。

|ISBN

ISBNコードは、国際標準図書番号と呼ばれ、全ての書籍に13桁の数字で個別に管理されているコードです。
当然、ISBNコードが分かれば、何の本かを特定することができます。

数字がどういった意味をしているのかを以下のISBNコードで紹介します。
978-4-4-1234-5678-4

978-4-4-1234-5678-4 必ず頭に表示されています。
978-4-4-1234-5678-4 国別の番号です。日本は「4」です。
978-4-4-1234-5678-4 出版社番号です。2〜7桁で出版社ができた順に割り当てられます。例えば、岩波書店「00」「角川書店「04」です。
978-4-4-1234-5678-4 書名番号です。本の固有番号になり、同一の出版社で同一の書名番号が割り振られないようになります。
978-4-4-1234-5678-4 チェック番号です。

これらのISBNコードは、2007年1月より3桁増えて現在の13桁になりました。

|Cコード

Cコードは、分類コードとも呼ばれています。どんな本なのかをCコードを見るだけで分かるようになっています。

数字がどういった意味をしているのかを以下のCコードで紹介します。
C0037

C0037 対象「0=一般」「1=教養」「2=実用」「3=専門など」
C0037 発行形態です。「単行本」「文庫」「新書」「全集など」
C0037 本の内容です。10の位は大分類で、1の位は中分類です。


書店を中心とした出版業界を理解する


出版業界を理解しておくことは、本と関わる書店員にとって必須の条件となります。

本に関わる者は、「著者」「出版社」「取次」「書店」が存在します。それぞれの関わり方や、本やお金の流れを理解することで、取り組みに対する協力者を増やすことができます。

著者
著者は本を書く人です。自分の頭の中にあるものを本という形で表現し、全国の人達に届けたいという思いで本を書いています。

出版社
出版社は本を発行する会社です。著者と二人三脚で本を作り上げます。本が売れて一番儲かるのは出版社です、ただし最終的に本が売れない場合も大きな損をするのは出版社です。

取次
本の流通を支えている会社です。本が満遍なく、効率的に全国の書店に行き渡るのは取次の役目です。また出版社にとっては金融的な役割もしています。

書店
本をお客様に届ける役目を担っています。書店が全国にあるおかげで、読者は簡単に本を手に取ることができます。

この辺りの業界の仕組みに関しては、詳しく出版流通の仕組みで紹介していますので、ぜひそちらを参考にしてみてください。

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