本屋で人気の売場「ランキングコーナー」の必要性

本屋で人気の売場「ランキングコーナー」の必要性

本屋の店内には非常に人気のコーナーがあります。
多くのお店ではそれを取り入れているのですが、意外にもこの売場がないお店もあります。それが「ランキングコーナー」です。
どんなに小さな店舗でも、週間ランキングなどはコーナーは必ず設けるようにしましょう。


ランキングコーナーとは


本屋におけるランキングコーナーとは、現在売れている人気の本が一目で分かる売場です。
毎日新刊が出る書店において、ランキングは日々変動し日替わりします。そのため正確にランキングコーナーを作るのであれば、昨日のPOSデータをもとに毎日売場を変更しなければなりません。もちろんそれが理想です。
しかし、実際にやってみると分かるのですが、作業量に比べ成果が割に合わないことになります。業績が良い上で毎日やるのであればいいのですが、何を差し置いてもやるべき仕事ではありません。例えるなら、100前後のボーリングスコアの人が、スコアを上げるためにヘッドピンの狙い方ではなく、9番ピンの倒し方から練習しだすようなものです。スコアを上げるために大事なことなのですが、やるべきことの優先順位が少しズレてますよね。
どうしてそんなことが起きるかというと、ランキングコーナーを設けることが目的ではなく、ランキングコーナーを設ける目的がきちんと理解できていないからです。

ではいったい、限られた店内にランキングコーナーを設ける目的は何なのでしょうか。
ずばり目的は、興味を持って足を止めてもらうことです。最初に興味を持ってもらうのです。

ランキングは誰しも気になる存在です。今売れている本、人気の本が何かを知っておきたいのです。この本が売れてると聞くだけで、なぜ売れてるのか考えてしまう人もいます。また、本屋は誰もが入りやすいお店です。目的買いだけでなく、衝動買いも多いお店ともいえます。衝動買いのキッカケは、こんな本あるんだと知ってもらうことですよね。知ってもらうには、ランキングをコーナー化することが、誰もが興味を持ってもらいやすく手っ取り早いのです。

この目的を理解していれば、ランキングコーナーの重要性が分かっていただけると思います。

書店に関わらず、物やサービスを売る仕事で大事なのは、ラダー設計です。お客様の思考や行動を導き、次の思考や行動を起こしやすいように、ハシゴを掛けてあげるのです。最後は購入・リピートになるよう設計していくのが大事です。つまり、店内での最初のハシゴがランキングです。最初のハシゴがなければ、次に踏み込んだ行動は起こしにくくなってしまいます。

ランキングコーナーがない書店があれば、必ず作るようにしましょう。
お客様は買ってに本を買ってくれません。購入まで導けるかは、書店員が買いたくなる本を知ってもらうところから、買いたくなるまでのハシゴを掛けているかが大事なのです。そして最初のハシゴがランキングコーナーなのです。


店内のどこに設けるべきか


できれば多くの人の目に触れる場所がいいです。1つ目のハシゴが店内の奥の方では、ラダー設計が破茶滅茶です。

そこで、各カテゴリのコーナー入口ごとに設けるくらいでいいと思っています。しかし売場規模によってはそんなこと絶対に無理なので、少なくとも店舗入口など目立つ箇所に設けましょう。
各カテゴリコーナーでも、店舗入口に設ける場合でも、そこで本を沢山売るというのではなく、新しく興味を持ってもらったり、目星を付けてもらって店舗奥に入ってもらうことが大事なのです。

もちろんランキングコーナーに置く本ですから、話題書など売れている本になります。だからといって、ランキングコーナーから売れていくとは限りません。やってみたけど、ここにある本が思ったほど売れないから、撤去しようとはならないでいただきたいです。
店舗やカテゴリにとって「いい場所」を取るわけですから、そこの本が売れないとすぐに変更したくなるかもしれませんが、もう一度目的である1つ目ハシゴということを思い出してください。


ランキングコーナーの活用で副産物がある


最初に、ランキングコーナーは毎日変更しなくていいということを書きました。
実はこれには、ランキングコーナーを作ることが目的ではない、ということ以外に、運用方法によっては副産物的な売上を得られるからなのです。

|運用方法と副産物

店舗やカテゴリにとって、いい場所を占領するわけですから、ランキングコーナーをもっと活用してみる方法を考えてみましょう。
1つ目は売りたい本を紛れ込ませること、2つ目はこれから売れる本もランキングに入れてしまうことです。

1つ目の売りたい本を紛れ込ませる理由は、ランキングコーナーは立ち止まり率が格段に上がるからです。話題書や有名作家が、数字と共に表紙で飾られるわけですから当然です。この本の中に1冊売りたい本を紛れ込ませることは、その本を売るために有効な手段です。立ち止まった人の目に留まった後に店内奥へ行くわけです。そこでテーブルや壁面で多面展開などしていれば、1つ目2つ目のハシゴが順番に掛けられている状態になります。

2つ目はこれから売れる本をランキングコーナーに入れてしまう必要があります。週間ランキングなどのランキングをきちんと展開しようとすると、どうしても今日の売れ方とラグが発生してしまいます。今日入荷した売れる本が来週にランキング入りするわけですから当然です。しかし、どうせ売れる本なら、入荷日だとしてもランキングに入れてしまうくらいのことはしていいでしょう。特にコミックなどはやるべき理由があります。
コミックの発売日目掛けて書店に買いにくる人ばかりではありません。新刊が発売したというのを書店で知り、購入するという方も多くいます。店頭入口のランキングコーナーに新刊コミックを入れておくと「この新刊もう発売したんだ」という会話が必ず聞こえてきます。そして、その方は必ず買っていかれます。コミックコーナーまで行かずに、ランキングコーナーからレジに本を持ってきます。店内奥まで足を運ばなくても、いつも買ってる本が出たよと知ってもらえるだけで売上が上がるのは、ランキングコーナーがあり、そこに入荷日のコミックを置いておくからこそできる販促方法です。


ランキングコーナーまとめ


あなたの書店にランキングコーナーはありますか?
それは店内入口やカテゴリの入口目立つ場所に設置されていますか?
ランキングコーナーを設ける目的は把握できおり、形骸化していませんか?
そのコーナーを上手に使えて副産物を得ていますか?

もし店内にランキングコーナーがない書店は、すぐに作った方がいいです。売場の中でもハシゴ1つ目となる大事な売場です。ランキングコーナーが既にある場合は、運用方法を考え直す必要はありませんか。活用もできていますか。もしできているなら、店内に2つ目のハシゴ、3つ目のハシゴを用意して、もっとランキングコーナーが活きる売場づくりを目指してみてください。

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