書店の在庫を分析する上で大切な数字

書店の在庫を分析する上で大切な数字

今回は数字を見ることで、棚や平台の在庫の良し悪しを判断する指標を紹介します。

店長は、業績を分析していく中で「自店舗の何が悪いのか」を見つけて改善していく必要があります。
売上が悪い原因、利益が悪い原因に対して、当サイトのカテゴリにあるような商品面、売場面、集客面、接客面、オペレーション面などの側面から改善策を実施することになります。

しかし、売上が悪いのが何故なのか(どの側面が悪いのか)が分からなければ、対策も立てようがありません。

そこで数字を読み取っていく必要があるのです。数字の指標を持つことで、悪い箇所を発見できます。
今回は、その中でも商品(在庫)に対する数字の指標を紹介します。


あなたのお店の商品は満足のいく品揃えか


店舗にとって品揃えは何よりも大事なことです。
自分の店舗だけ雑誌の入荷日が1日遅かったり、自分の店舗だけ村上春樹の新刊が入らなければ、それだけで売上に大きなダメージになるほどです。
書店員にとって、どの本を注文し、どの本を店頭に並べ、どの本を返品するのかは非常に重要な仕事のひとつと言えます。

では、あなたのお店に置いてある本は満足のいく在庫ですか?

という問いに対し、あなたは何と答えるでしょう。
これは店舗の規模が小さいからもっと在庫を持ちたいとか、昨日の新刊が売切れてしまったからその本が欲しいとかいう理想論の話や、ピンポイントの本のタイトルの話ではありません。店舗規模に見合った適正なタイトルを揃えていますかということです。


適切なタイトルとは


どの本を揃えておくべきで、どの本を返品してもいいのか、いくつかの指標をお教えします。
今回紹介するのは、最低限抑えておかなければいけない数字ですので、必ず自店舗の数字も把握するようにしてください。

1.在庫回転率
2.売筋欠品率
3.非稼動在庫率

この3つの数字は、非常に大切になってきます。それぞれ簡単に見ていきましょう。

「在庫回転率」とは、一定期間内にお店にある平均在庫が何回転売れていったかを示す数字です。簡単にいうと、在庫回転率が高い商品は効率よく効率が良く売れており、在庫回転率の低い商品は効率の悪い商品となります。

計算式で表すと難しく感じますが、
簡単に表すのであれば、「在庫回転率 =売上 ÷ 在庫売価」と覚えてもらっていいでしょう。
(正確には、在庫回転率 = 売上 ÷ 平均在庫売価 になります。)
売上は年間で計算することが多く、平均在庫売価は「(期首在庫+期末在庫)÷2」で計算をします。

もう少し具体的な数字を元に、書店における「在庫回転率」「売筋欠品率」「非稼動在庫率」という数字を見ていきましょう。あなたのお店の数字と比較してみると、何か問題点や改善点が見つかるかもしれません。


在庫回転率


在庫回転率とは、ある一定期間においての、どれだけ効率的に在庫が売れているかを表す数字です。

回転率が1というのは、全ての在庫高がその期間に1回売れていることをさします。0.5であれば、期間内に在庫の半分は売れているということです。

売上は一緒でも、在庫が少なくなれば回転率は上がりますし、在庫を増やせば回転率は悪くなります。
この辺りの数字を理解すれば、在庫があればもっと売上が上がるのか、在庫を減らしても売上は落ちないのかなどを回転率を元に導き出すことができます。

そしてジャンルによっても理想の回転率は違います。
回転率の良いカテゴリは何か分かりますか?これは、全書店同じで、雑誌です。雑誌は大型書店、小型書店、駅前店、郊外店に関わらず、回転率の高い商材になります。雑誌以外の売上構成比が比較的高い、400坪以上の郊外店でも、雑誌カテゴリは「回転率7.5」程度あり、雑誌に売上を頼る傾向のある100坪以下の小型駅前店では「回転率9.8」程度あります。
この辺りの数字を元に、自店の状況を把握してみてください。

回転率が低いのであれば(意図せず平均を下回っているようであれば)、在庫が多すぎるのか、売り方が悪いのか改善していく必要があります。

その年に、大きな売場変更をしていない(在庫売価が大きく変動していない)のであれば、
「在庫回転率 =売上 ÷ 在庫売価」で計算してよいので、すぐに計算できると思います。

カテゴリごとに自店舗の年間の回転率を導き出してみてください。
取次に依頼すれば、全国の同規模・同立地の回転率を教えてくれますので、比較してみてください。


売筋欠品率


売筋欠品率は、全国ベストを元にしたランキング上位の商品が、どれほど売場で欠本していますか?というものを表す数字です。
この数字は店舗規模にフィットしたもので調整する必要があります。つまりランキング上位何パーセントは欠品しないようにしなければいけないかは、売場規模によって変わります。
また、立地によっても若干変わってきます。駅前店であれば、話題書の割合が多く必要ですが、郊外店などのいわゆる街の本屋さんであれば、話題書よりも定番書の割合が多く必要になって来るでしょう。

この辺りを加味しながら、取次と相談して、自店舗の全国ベストの必要パーセンテージをカテゴリごとに決めましょう。
そして、それに対する欠本率を毎月比較するようにします。

もし担当者に発注や返品を全て任せているのであれば、かなり偏った傾向が浮かび上がって来ると思います。例えば、コミックなどは、全国ベスト上位でも「何でこれが1冊も入荷ないの?」と聞くと、担当者が「ウチでは売れないから」と、仕入れを行っていなかったりします。それでは、売上は上がりません。
自店舗と合わないのであれば、何冊も仕入れて平台に置かなくてもいいかもしれませんが、もし買いに来た人が1冊もなければ、次の巻が発売されても2度と買いに来ることはありません。全国ベストに載って来るようなタイトルは1冊は仕入れを行うようにしましょう。


非稼動在庫率


非稼動在庫率とは、売れていない(入荷から◯日経過した)商品が、どの程度の割合であるのかという数字です。
◯日というのは、非稼動日数で、店舗規模や立地条件によって変わってきます。駅前店であれば、非稼動日数はある程度少なめで設定しますし、郊外店であればある程度長めに設定して考えます。

目安としては、駅中のような人の入れ替わりの激しい店舗で180日、郊外店であれば360日に設定するくらいが丁度いいと思います。
仕入れ(入荷)からこの日稼働日数の期間売れなければ、その本は返品対象となります。

総在庫の中で、この非稼動在庫の割合を計算します。
そして毎月非稼働在庫率の推移を見ていきましょう。

非稼働在庫率の上昇と共に、売上が悪くなっていれば、売場の商品鮮度が落ちているということです。入れ替えを行いましょう。入れ替えを行う在庫は、まずは売れ筋欠本率で欠本している在庫を補充すればいいのです。


店舗の適正在庫をまとめ


今回は、店舗の在庫が適正かどうかを計るための数字を3つ紹介しました。
これらの数字は、計算しただけでは意味がなく、毎月変化を追っていく必要があります。
その変化の推移の中で、数字が悪くなっている兆候などを感じ取り、実際に取り組みに反映していく必要があります。

またこれらの在庫に関する数字は、カテゴリごとに出していくべき数字です。

担当制で店舗を回しているのであれば、これらの数字の推移を共有し、改善策を考えさせることで、スタッフ全員が数字に対する意識を持ちながら、店舗運営に臨んでいけるようになっていきます。

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