書店員が知っておくべき出版物流通の仕組み
本の流通の仕組み 新人が超書店員になるには覚えなくてはならないのが、出版業界の仕組みです。
中でも、本の流通の仕組みや制度、それに関わる企業、そこを流れるお金などを把握しておく必要があります。
この辺の話を詳しく説明すると、ものすごく長くなります。
きちんと理解しておきたい人は、自分で調べるなり先輩に聞いて勉強してください。
今回は「書店員目線」だったら、「こういう認識をすればいい」という解説をします。
3部に分けて説明したいと思います。
- 出版業界の流通の仕組みを理解する【Part1】本が読者の手に届くまで ← 今回はこの説明
- 出版業界の流通の仕組みを理解する【Part2】書店の役割を実現する再販売価格維持制度tと委託制度
- 出版業界の流通の仕組みを理解する【Part3】お金と重要な役割
本の全てはここから始まる「著者」
出版流通の全てのスタートは、著者です。
「なんだかおもしろい物語を考えちゃった。」「よしこの物語を本という形で世に広めよう」といったところがスタートです。
著者がいなければ、本ができず、お客様は本を買うことができません。
本を作っているところ「出版社」
次に必要なのが、出版社です。
出版社とは本を作っている会社です。
本の企画をしたり、編集をしたり、プロモーションを考えたり、印刷会社に依頼をしたり様々な仕事をしています。
そして、著者の書いた文章や絵を、出版社が印刷会社に依頼して本という形に仕上げます。
そして本が完成します。
本が買える場所「書店」
出版社は、ほとんど東京にしかありません。75%以上が東京にあります。
ということは、東野圭吾の新刊が出ようと、鳥山明の新刊が出ようと、東京まで買いにいかなければ手に入らないのです。
全国に欲しい人はいっぱいいるのに、東京に行かないと買えないなんて、そんなの滅茶苦茶ですね。
そこで、いいアイデアがあります。
全国いたるところに書店があります。
この出版社が作った本を、全国の書店に置いてもらうことで、みんなが欲しい本を手に入れることができるようになるのです。
出版業界支える役割「取次」
出版社の数って、何社くらいあると思いますか?
書店の数って、何社くらいあると思いますか?
出版社は3,500社程度あり、書店は12,000店舗程度あります(多い時代では、出版社は4,600社、書店は22,000店舗ありました)
そもそもこの数の書店と出版社が1件1件、本のやり取りをしていたら訳が分からないことになりそうです。
そこで、「取次」という会社を介して本の流通を行っています。
取次は出版業界には欠かせない存在で、卸、配本、金融といった役割もになっている存在です。
そしてようやく読者の手元に本が届く
ここでようやく、書店に本が並ぶことになりました。
書店に本が並ぶということは、全国でその本が読みたい人が、自分の住んでる街で欲しい本が買えるということです。
出版業界における約80%の本は、このような流通形態をとっています。(ちなみに残りの15%はコンビニ流通、5%はネット・教科書・直販流通など)
1冊の本が買えるようになるまで、多くの人、多くの会社の手を介していることが分かります。