配本を見直すことで雑誌の売上を上げる方法

配本を見直すことで雑誌の売上を上げる方法

昨今、雑誌の売上はどの書店でも厳しいことでしょう。
スマホの普及により、多くの人の可処分時間の使い方は、雑誌やテレビからスマホへと移っていきました。

その結果、全国的に雑誌の売上は右肩下がりの傾向が続く一方です。

かく言う私も、書店の店長をしていた時は、雑誌カテゴリの売上を切り捨てて考えていた時期がありました。「来月はそもそも雑誌でこれだけ負けるから、このカテゴリでこれだけ取り返して、このカテゴリでこんな取り組みをして」などと、雑誌はある意味、売上が落ちる前提で店舗運営をしていました。
雑誌を頑張って上げるよりも、別のカテゴリの方が取り組みに対する結果が出やすいと思い、雑誌売上向上に対する優先順位は低かったのです。

この優先順位の考え方はある意味正しいのかもしれませんが、書店の売上全体において、雑誌カテゴリの売上は多くを占めます。その雑誌カテゴリが売上が落ちているのですから、お店の売上全体に与えるインパクトは大きいです。

そこで今回は、雑誌を商品目線で見直し売上を上げる方法を紹介します。


雑誌カテゴリが売上全体に占める割合


まずは、雑誌カテゴリの大切さを、もう一度再確認します。

あなたのお店で、雑誌の売上はいくらですか?またそれは、売上全体の何パーセント程度を占めていますか?

自店舗の数字を把握する上でもとても大切なことなので、すぐに分からない書店員の方は必ず計算をしてみてください。ここでやるのとやらないのでは、数字が理解できるようになるかどうかの分かれ道ですよ。

ここでは全国平均で話を進めます。この雑誌カテゴリの売上構成比というのは、売場規模によって変わってきます。
60坪未満の小さな店舗では約38%程度、400坪以上の大型店では約18%程度となっています。
規模関係なく書店全ての総合を平均すると、約28%程が売上全体の中で雑誌が占める割合となります。

当然ですが、この28%というのは、全カテゴリの中で一番大きなウェイトを占めています。
ですから、そこが下がるというのは、お店の売上全体に対し大きなインパクトを与えてしまう結果になります。

まずそのことを理解すると、雑誌をもっと売りたい!雑誌を売らなきゃ!と思ってもらえるのではないでしょうか。


雑誌は不思議なカテゴリ


ではどうやって、雑誌の売上を上げていきましょう。

そもそも雑誌とはどういうカテゴリで、どういう商品特性がある商品なのでしょうか。

今回は商品目線で話を進めていくのですが、商品目線で雑誌カテゴリを見た時に、雑誌はとても不思議なカテゴリだと思いました。

書籍やコミックとは違い、雑誌は基本的に増刷されません。出版社で作られた分が、取次経由で全国の書店に配本されて終わりです。それを売るしかないのです。売切れても追加などはありません。
取次は過去の販売データを元に、最大公約数的に売れることを考え、各書店に雑誌の配本数を決めます。雑誌は売れる時期が限られている(次号が出たら終わり)上に、返品や注文で回るような書籍と違うため、かなり配本が重要になってくる商材です。

まさに、配本が全ての商品なのです。

それなのに、あなたの店舗は、雑誌をほぼ取次任せの配本になっていませんか。
配本が全てなのですから、その配本に手を加えなければ雑誌の売上は上がりません。


まずは雑誌の付録や特集に対してアンテナを張ること


優秀な店長や雑誌担当者が必ずやっていることがあります。

アンテナを張ることです。雑誌の商品特性を理解しているため、売れるであろう雑誌の配本を多くしてもらうのです。それにはアンテナを張っていなければいけません。

例えば、女性誌の付録でこんなのが付くから売れそうだ、雑誌の特集の内容が話題のアーティストだから売れそうだ、ゲーム雑誌の付録が流行りのスマホゲームのコードが付くからまとめ買いがありそう...などなど、いろいろな所にアンテナを張っています。その情報を得たら、必ず取次の配本担当に電話をして配本を増やしてもらうように交渉します。

これをやるのは基本中の基本です。
ただし、これだけではあまり配本数には期待できませんし、雑誌カテゴリの売上全体の落ち込み具合からしたら焼け石に水でしょう。やらないよりはやった方がいいですし、書店の売上は一発逆転はなく、こういった小さなことの積み重ねが結果となるため、自身の書店員としてのレベルアップのためにもアンテナは張っておきましょう。少なくとも、予約の入った雑誌は、なぜ今回予約が入ったのか知っておく必要がありますし、予約分だけでもいつもより配本を増やしてもらうことはしておきましょう。


雑誌全体のテコ入れ方法


さて「配本が全て」である雑誌の特性を踏まえた上で、その「配本に手を加え」ましょう。

疑わなければいけないことは、今現在配本されている雑誌タイトルと配本数は、理想的な配本ではないと疑うべきです。
徐々に売れない本が切られていき、売れている本が入ってきて今の形になっていると思うかもしれませんが、それを決めているのは自店舗ではなく取次ということです。また、発行部数自体が減ればその分書店に回ってくる本の数が減りますので、配本数も減っていきます。配本が切られることがあります。
雑誌の配本がないというのは危険なことで、雑誌は継続的に買われる商品です。ある雑誌タイトルを目的に買いに来たお客様が、目的の雑誌タイトルが置いてなければ、次号が発売されたタイミングでまたその店に来ようとは思わないことです。そのため、雑誌は「ある」ことが大事な商品だということが分かります。

そのためやるべきことは、現在世の中ではどんなタイトルの雑誌があり、その中であなたのお店で配本のある雑誌タイトルは何なのかを全てリストアップすることです。
雑誌タイトルをジャンルごとに分けたリストを取次に依頼してもらいましょう。そして、配本のある雑誌、その配本数を記入していきましょう。その配本数で足りていますか?足りていない場合はどれだけ追加して欲しいですか?

そして配本のなかった雑誌タイトルを眺めてみてください。
当然、全く必要のないタイトルも多いと思いますが、いつの間にか配本を切られてしまっていたもの、今まで配本がなかったけど置いてみたら可能性のありそうなタイトルが恐らくいくつも発見できると思います。それだけ可能性のあるにも関わらず、もったいないことをしていたことに気づくと思います。可能性がありそうなタイトルは少量でいいです、どれだけ欲しいか数字を記入してみてください。本当にそのバイク雑誌、釣り雑誌、スポーツ雑誌、料理雑誌は1冊もいりませんか?可能性はゼロですか?

そこまでできれば、あとは簡単です。
取次にお願いをして、雑誌カテゴリに対してこういう取り組みをしたいから協力して欲しいと依頼してみてください。
雑誌を単発で一回いれただけでは結果は出ませんので、6か月間は依頼した配本を切らないようにお願いするのも忘れないようにしてください。

新しく入れた雑誌をたまたま見つけて買った人が、次の号も買い始めて雑誌カテゴリの売上を底上げし始めるかもしれません。

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