本の値段について色々考えてみる

本の値段について色々考えてみる

今回も、かなり好き勝手なことを書いてみたいと思います。
理由など知ってる人がいたら教えてください。


それは本の値段についての話


そもそも世の中の値段というものは、需要と供給のバランスで成り立っています。
また、値段を大きく左右するものに「ブランド」というものが存在します。

値段が高くてもブランドだから価値がある、なんてものは世の中にはたくさんあります。
それほどブランドには信頼があり、人を魅了するのです。


ブランド品が高い理由


ブランド品が好きな理由は人それぞれだと思います。
高くてもブランドを買う理由のひとつに、ブランドの商品は品質がいいというのが挙げられます。

例えば、

ボストンバッグにいっぱいに金塊をつめたら、どうなるか知ってますか?普通のバッグなら金塊の重さで、持ち手の部分が千切れて持ち歩くことはできません。でも、Louis Vuittonのボストンバッグは、金塊をパンパンにつめても持ち手が千切れないほど耐久性があります。

服だってそうです。

ここに白シャツが3枚あります。BURBERRY、UNITED ARROWS、UNIQLOです。金額は、3万円、1.5万円、5千円でしょう。

もしここで、この3枚の白シャツのタグを全て切って、どの白いシャツがどのブランドか当てろと言われたら当てることができます。ブランドタグがなくても、糸の縫製、ボタンの留め方、使ってる生地、何本糸のロックミシンを使用するなど一流ブランドはこだわりを持って自社の製品を作っています。
そのような部分に目を向ければ、クオリティーの差は歴然です。

ブランドには、品質(クオリティー)が担保されており、その安心感で高いお金を払うことができるのです。


本の値段


話は本に戻り、では本の値段を見てみましょう。

ここで誰しも気づいた通り、本の値段はほとんど変わりません。
新人作家だろうが、ベテラン作家だろうが、受賞者だろうが、本の値段はあまり変わりません。

小説の単行本でさえ、1,000~2,000円ではないでしょうか。コミックであれば、400円~600円ともっと差がありません。

本は、誰が書いたものでも、値段は一緒なのです。

しかも、本はこの何十年間、ほとんど値上げをしていないのです。
例えば週刊少年ジャンプは、この30年間で75円しか値上がりしていません。

こんな業界ってありますか?

この30年間で、コーヒーはいくら値上がりしました?軽自動車はいくら値上がりしました?映画代がいくら値上がりしました?
値段があまり上がっていないのは本だけです。


本でいうブランドとは?


この値上げをしない出版社の努力は素晴らしいものがありますね。

本当に、本当にすごいことだと思います。

考えてみてください、今後ジャンプコミックス全てを10円値上げしたら、集英社はいくら儲かりますか。本が売れないと言われ続ける中も、それをせずに、頑張ってるんですから、すごいことです。
本を値上げしないのは、普及という観点が大きいでしょう。ただ、可処分時間を奪い合っている現代において、この考えは少し古いのかもしれません。

もちろん値段を上げないのには理由があるのは分かります。
読者の裾野を広めなければいけないのです。そうしなければ業界全体がじり貧になっていきます。
しかし価格というエッセンスで本の出版を見直したときに、全てが均一かされた商品に疑問を感じませんか?

商品単価は高いがクオリティーのみにこだわった、出版界のLouis Vuittonがでてきたり、薄利多売で人気の出版界のH&Mがでてきたり、高品質のものからお手頃価格まで取りそろえた出版界のニトリがでてきたりしてもいいのではないでしょうか。
値段というエッセンスで変化をつけることにより、お客様にとって自分に合った本が誕生しやすくなるのではないかと思います。

そして、本でいうブランド(高クオリティーの担保)とは、作家であると考えることができます。


作家のブランド化


有名作家は、毎回おもしろい物語を書くことができるし、有名漫画家は作品ごとに愛されるキャラクターを描くことができます。

それなのに、新人作家の本も有名作家の本も値段は変わりません。
本は何で1000~1500円でなければいけないのでしょうか。
作家をブランドと捉えた時に、5000円でも1万円でもいいのではないでしょうか。

世の中に質の高いものは同じシャツでも高くて当たり前ですし、逆に安く沢山売るのもひとつの方法です。本が売れない時代だというのであれば、そういう同じ商品でも特性の違う作り方、売り方が必要なのではないでしょうか。

また、売上=客数×客単価であるならば、出版業界全体が、客数へのアプローチのみならず、客単価へのアプローチも必要なのではないでしょうか。(もちろん、客数へのアプローチをしなければ業界全体が衰退してしまいますが)
そういう意味で、作家をブランド化することにより、客単価へのアプローチをしてみたらどうかと考えました。

書店にいるとあまりそういったことは意識しませんが(書店員は値段を決める権限がないため)業界全体として、本の値段に対する意識を変えていく必要もあるかと思います。

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