ムックの売上を人海戦術であげられるか

ムックの売上を人海戦術であげられるか

多くの書店では、ムックを書籍棚の各ジャンルではなく、雑誌売場に並べています。
これには何か意図があるのでしょうか。判型や扱いが雑誌に近いことから、そうしているのでしょうか。もしこうした書店目線で雑誌売場に陳列しているのだとしたら、お客様目線でもう一度売場を考え直してみる必要があるかもしれません。各ジャンルの書籍の並びで、同じタイトルの付いたムックがあった方がお客様にとっては便利な本屋かもしれません。
これには様々な考え方があるので、今回は一旦置いておいて、別の角度からムックの問題点や売上を上げる方法を紹介したいと思います。(ムックをどの売場に並べるべきかは、考えてみてくださいね。)

ムックカテゴリの最大の問題点は、先ほど書いた売場にもつながってくるのですが、「ムック」というカテゴリで括られて、何がどれほど売れているのか、または売れていないのかが把握できないことです。
ほとんどの書店では、売上を見る際に「ムック」で括られています。ムックといってもファッション、実用、ホビー、ビジネス、人文と様々なジャンルがあります。それが全て一緒くたにされているのです。つまり細かく分析しにくいのがムックカテゴリなのです。数字をつかめないと、ムックの業績を改善させようとしても、どうしたらいいのか足がかりがありません。
これが一番のムックの問題点といえます。
ムックの中でもカテゴリを細分化して数字を把握する、入荷返品と共に在庫がどう変化しているのかを把握する、売上がどう推移しているのかを把握できれば、すぐに原因と対策を考えることができます。

長々とムックに関して思うところを書いてきましたが、今回紹介することは、そんなことを全て吹っ飛ばしてもムックの売上を底上げする方法を紹介します。あまりスマートなやり方ではありませんし、ベストな方法だとも思いませんが、結果が出ますので新人店長などは参考にしてみてください。


ムックとは書籍と雑誌を合わせた本


ムックとは、書籍と雑誌の両方の特性を持つ本です。

ISBNで管理され、雑誌コードもついています。
雑誌コードを持つことで、雑誌のように流通させることができます。そしてISBNコードを持つことで、書籍のように返品期限を設けることなく販売することができる特性があります。
書籍は発行部数が少なく、人気のあるテーマでも全国の書店に行き渡らないことが多いですが、ムックの場合は書籍よりも発行部数が多く、多くの人が手に入れることができます。また、紙面に広告なども入ることが多かったり、著者がなく編集部で制作していることも多く、出版社としてはコストダウンしながら広告収入が見込める本となっています。

判型が大きくヴィジュアルを重視した内容が多いのも特徴で、もともと雑誌売り場に置いてもらう体として書店に配本されています。


ムックの売上がいい時


ムックの売上がいい時というのは、どんな時でしょうか。

ムックは当たり、外れが大きな本です。特に「当たり」のムックは全国的に飛ぶように売れます。そして2匹目のドジョウを狙うために各社類似のタイトルを出しまくります。それほど、当たった時のインパクトは大きく、当たりのムックの在庫を持っていればムックの売上はぐいぐい上がっていきます。

今までも「Cher」「 IL BISONTE」などのブランドムック、「酢玉ねぎ」「やせるおかずつくりおき」などのタイトルのムックは話題となり在庫があるだけ売れていきました。
しかし、こうした話題のタイトルがない時のムックの売上は、悪かったのです。いいタイトルがあれば売上が良く、なければ悪いといった、待ちの状態なのがムックカテゴリの実情ではないかと思います。

では、書店が主導でムックの売上を上げるために行えることはないのでしょうか。
ムックの特性を最大限活かした方法を考え実施したのが、人海戦術によるムックの売上アップ作戦です。


人海戦術でムックの売上を上げる


ムックは、ある程度新刊としての入荷数もコントロールできる本です。
毎月こんなタイトルが発売予定といった資料を元に、希望入荷数を取次に伝えている書店も多いかと思います。これは、取次に対する返品率を下げる目的で始まったようで、取次の判断で配本するよりは書店の希望を聞いた上で、いらない本を配本しないように、希望数で配本数を調整できるようにしたものです。

そんな中、あなたの書店では、どうやって各タイトルごとの希望数を決めていますか。
店長や担当者がタイトルや希望数を決めていると思うのですが、
・「売れそうだから」「自店舗の客層に合いそうだから」とメリハリのついた冊数を付けている
・「各3冊」「各5冊」といった具合に均しつつ売場規模に合った数になるよう調整している
ほとんどのお店は、このどちらか、もしくはこの両方を組み合わせたものだと思うのですが、希望数を申告する段階ではタイトルが未定のものもあるわけで、実際に入荷し店頭に並べてみるまでどれが売れるかなんて分かりません。

しかし、先ほど説明したようにムックは「当たり」「外れ」のある本です。
希望数を申告する段階ではどれが当たるかなんて全く分かりません。(分かる位のセンスになれという話ですが、、。)

そこで考えたのがこの仕組みを逆手に取った「大量仕入れ&大量返品大作戦」です。
とりあえず沢山仕入れて、雑誌売場の平台などを日々動かし、全国POSランキングの高いムックは残し、低いムックは即撤去します。初動による見切りの早さと、入荷量に対する受け入れ体勢がカギになってきます。

まさに人海戦術です。入荷を増やして、平台の入れ替えをランキングを元に毎日一生懸命行うのです。

この方法は、ムックの返品率も上がりますが、売上げも上がります。

新刊の段階でもたくさん仕入れられる、当たりを得た時のインパクトが大きいこなど、ムックの特性を逆手に取った方法です。

※注意事項
[1] 売上よりも返品率を気にする書店で行った場合は経営陣に怒られます。どうしてもやりたい場合は、経営陣に取り組み内容をしっかりと説明してから行うようにしてください。
[2] 人海戦術をするにあたり、シフトを厚くしてしまっては意味がありません。売上増やして、人件費増やして、利益減らしていたら、本末転倒です。(まずは書店のシフト作りを学びましょう)

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