本屋の効果的なPOPとは「なぜ手書きPOPを使うのか」

本屋の効果的なPOPとは「なぜ手書きPOPを使うのか」

本屋において、商品力を上げる方法にPOPというものがあります。
POPは書店員にとって、大切な仕事のひとつです。通常の小売店は積極的に接客を行なうことで、商品の魅力やメリットを伝えることができます。しかし、本屋の場合は立ち読みで本を選んでいる方に対し、声を掛けての接客というのはあまり行いません。
そのため、声掛けを行わない代わりに、POPで商品の魅力を伝えます。POPを通してお客様とコミュニケーションを図っていると言い換えてもいいでしょう。


POPは手書き派?拡材派?パソコン派?


ずっと疑問に思っていたことがあります。
なぜ本屋のPOPは「手書き」や「手書き風」が多いのか?

正直に言うと、私は手書きPOPが好きではありませんでした。パソコンで作れるというのもあったり、上手く描けないというものあるのですが、何より成功している小売業が手書きPOPを使っていないというのが引っかかっていました。
成功している小売業と言えば、UNIQLO、ニトリなどがすぐに思い浮かびます。
では、果たしてUNIQLOの店舗に手書きPOPはあるのでしょうか。ニトリのお店に手書きPOPは見つけられるでしょうか。
答えば分かりきっています。1つも見つけることはできません。

ほとんどの手書きPOPは、売場や商品を汚く見せてしまうのです。汚く見えるということは、商品価値を下げることに繋がり、高く売れなくなってしまいます。
成功している小売業が手書きPOPを使っていないのに、本屋、CDショップだけが手書きPOPを頑なに使い続けているのです。

それなのに、誰も疑問に思うことなく、手書きにこだわり続けることに、凄く違和感を感じていました。
そのため私のお店は、拡材を利用したり、パソコンで作成したPOPのみを使用して売場を作っていました。

しかし・・・。


本屋のPOPはなぜ手書きなのか?


実は、手書きを使わず、拡材に頼る売場には落とし穴があります。
何も考えず、送られてきた拡材を使用していたり、手書きが嫌な人は、そのことを理解しなければいけません。

ぜひ一度、手書きPOPで飾った平台と、拡材を使用した平台を比べてみてください。
拡材の方が綺麗でまとまって見えます(売場を作った人はそれで満足してしまうんですよね、、)が、「お客様視点で売場を眺めて見た時」に、あることが致命的だと気づくかもしれません。

その答えはもう少し後に書くとして、
そもそも、POPの役目って何ですか?なぜその本や売場にPOPを付けるのですか?
目的買いは別ですが、店頭で知った本は、立ち読みををして中身を読んで買いますよね?中身が良くなかったけどPOPが良かったから買った、なんて人は、あまり聞いたことがありません。
では、なぜPOPを付けるのでしょう。出版社はお金をかけてPOPを送ってくるのでしょう。

POPは、その本を知ってもらうため、その本に興味を持ってもらうために付ける意味合いがあります。
だから買ってもらうための前段階、いい本だから(立ち読みしてくれたら売れるから)、本を知ってもらうために効果を発揮します。
POPなし「その本知らない → 素通り」
POPあり「その本知らない → POPが目に入る → 興味が湧き本を手に取る」
書き方、内容、コピーライティンング以前に、POPが目に入ることが何よりも大事になります。POPを付けたからといって、目に入って来なければ何の意味もありません。

もうお分かりだと思いますが、「本の表紙」と「拡材」というのは、同じようにデザインされているため溶け込む傾向にあります。同じテイストのデザインになっていたらもう最悪です。POPがアイキャッチの役割を果たしません。売場に良い意味の違和感がなくなり、全てが風景になる可能性があります。
もちろん、テーブルを1つの本で埋め尽くして仕掛ける時などは良いですが、平台やフェア台でアイキャッチがなくなると素通り率は格段に上がってしまいます。

手書きPOPというのは、プロでもない限り、文字、絵、色使い全てにおいて人間味がでます。それが、売場では違和感になります。本が並べられ、たくさんの文字が並んでいたとしても、POPの文字が目に飛び込んでくるのはそのためです。
アパレルショップ、家電店でいう声掛け接客の役目を果たしているともいえます。しかもそれが、邪険に感じられないのですから、やるしかありません。


まとめ


例えば、夏の文庫フェアで、新潮文庫は毎年「手書き風のPOP」を用意していますよね。なぜあれが毎年手書き風なのか考えたことはありますか。フェアで文庫を並べられた際に、手書き風の方が訴求力が高くなるということを新潮社は知っているからなのではないでしょうか。

手書きPOPの利点はお分かりいただけたと思いますが、拡材全てがダメと言っている訳ではありません。せっかく売場を作ったにも関わらず、風景になってしまったら勿体無いと言っているのです。
売場を作った際、本を並べた際など、全体としてまとまって綺麗に見えると、やった気、できた気になってしまいますが、一歩踏みとどまって考えてみてください。アイキャッチはありますか、歩いているお客様の足を止める役目を果たすものはどれでしょう、立ち止まったお客様の視点はどのように動くでしょう、それが想像できない内は、売場が完成したとは言えません。本を売場に並べることの基本は、こういうことだと思います。手書きPOPは、訴求力のある売場を完成させるのに、一役買うのです。

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